2020年 4月
4月1日(水)

新年度が始まった。昔から、世の中が浮足立つこの時季があまり得意ではなかったが、いつもとは打って変わって閑散沈鬱としているので、密かに親しみを感じたりしている。

さてさてしかし、残念なことではあるが、ここ東京は、よっぽどのことが起こらない限り、このままいけば新型コロナウィルスの感染者が激増し、医療現場の重大な崩壊をまねくだろう。食料や日用品の入手が難しくなり、日常生活にも深刻な障害が出てくるだろう。特にこの国では、政府や行政が機能不全に陥っているので、かなり悲惨な状態が暫く続くことを覚悟しなくてはならないだろう。

そんな訳なので、今は嵐の前の静けさといった状態で、閑散沈鬱ながらも、自分や家族と向き合うにはとても良い時間なのである。

なんとしても生き残りましょう。




大袈裟かもしれないけれど、みなさんも、身近な人と助け合い、最善を尽くして、生き残りましょう。エイプリルフールの嘘になればいいのだけれど、現実を見ていると楽観できないですよね。

4月2日(木)

会社の前に立派な桜並木があって、毎年、通勤時に私の目を楽しませてくれているのだが、今年の桜は今日が一番の花盛りを迎えている。人っ子一人いない桜並木だが、これはこれでかなり風情があって良いな。

というわけで、本日! ここに! 満開宣言を発表する!

ついでに緊急事態宣言も!




この会社に入って2回目のリフレッシュ休暇が出た(5年毎に貰える)ので、この会社にもう10年居座っているのか、などと美しい桜吹雪の中で感慨に耽っていたが、1年間有効のリフレッシュ休暇を、果たして私は有効に使えるんだろうか? 1年先も海外旅行とか絶対に無理じゃん? 国内も微妙だよね。うぅ~。

4月3日(金)

じりじりと感染者が増える中、都心へ向かう電車は決して少なくない通勤客を乗せて今日も混雑している。マスクをした大勢の人々に囲まれて、沈鬱と静寂に包まれた電車で通勤していると、恐怖のあまり発狂しそうになることがあるが、そんな時は、必死になって手元の本に意識を集中する。

暗くなっていかん。

さて、本というのは30頁ほど読み進めてみてようやく「なかなかオモロイのでは?」と実感してくるものだが、一般的な書籍は一冊だいたい300頁前後なので、30頁読み進めてしまうと、既に全体の10分の1が終わってしまっていて、せっかく面白くなってきたというのに、あと残り10分の9しか読めないことに寂しさを覚え、悲嘆に暮れる。

本でも映画でも音楽でも絵画でも、とにかくなんでもいいのだけれど、本当に面白い作品というのは、結末がどうのとか、役者がどうのとか、色合いがどうのとかではなく、この世界にならずっと浸っていられる、というか、この世界にずっと浸っていたい、と思わせてくれる作品なので、その作品世界に終わりがあるということ自体がとても残念なのだ。仕方ないけど。

例えば、私の妻は「銀河英雄伝説」というSF小説を原作にしたアニメ(本編110話+外伝52話)(80年代後半から90年代にかけて放映された旧作のほう)を事あるごとに鑑賞していて、もう何巡目だよ!? と思うことがあるけど、彼女にとっては本当に面白い作品だから、観た回数とかの問題ではなく、作品世界にずっと浸っていたいんだと思う。

もちろん私にも浸りたい作品がいくつかあるが、最近は全く浸れていない。もし都市封鎖などの措置がとられるようなら、ゆっくりじっくり浸ってみたいのだが、まあ、そうなったらそんな場合じゃないし、そもそも自分が感染していてどうにもならないかもしれないけど。




リモートワークや出社自粛について、これ以上、会社に掛け合っても埒があかないので、来週から自主休業に踏み切ろうかと思っています。下手すると解雇とかになるかもしれませんが、私は感染したくないし、感染させたくありません。まあ、都市封鎖の方が先になるかもしれないし、賢明な会社が何らかの策を講じるかもしれないけど、どちらもあてにならないのが悲しいな。

4月4日(土)

切らしてしまった日用品を買い足すついでに、昼食の日本蕎麦に付け合わせる副菜も買っとこうと思って、完全防備で外へ出たのだが、えっ? なんで? と思うほどの人々が町に出ていて、恋人同士や家族連れなんかは、やっと暖かくなったよね、という感じで、実に幸せそうに駅の方向へ歩いている。

まるで悪い夢でもみているようだ。

先週、土曜日に仕事があった時にも感じたが、大きな駅や繁華街には圧倒的に人は少ないのだが、ローカルな駅や商店街にはかなりの人が出ていて、むしろいつもより賑わっているような気がするのだが。

そんな光景を目の当たりにすると、あれ? 大丈夫なのかな? 俺が怖がりすぎ? なんて思ってしまうのだが、なんかこの感じって、原発の時とまったく同じだなと思う。




しかし、アレですね。外食ができないって、地味にキツいですね。

4月6日(月)

今朝の8時前後の通勤電車は通常の3~4割ぐらいで、座席や吊革はすべて埋まっている感じ、混雑率で言うと100~120%ぐらいという印象だから、緊急事態宣言発令によって5割減便されるととてもマズいことになる。

うぅ~む。

さて実は、この日記の一年前の投稿をnoteというサイトにずっと公開していて、もちろん当初は多くの人に読んでもらいたいという思惑もあったのだけど、当然ながら思ったほど注目されず、最近は自分の行動を振り返る意味合いの方が強くなっている。

でも、世の中がこんな状況なので、一年前の他愛のないできごとがとても身に沁みる。


ちなみに昨日は、自宅で大人しく外出自粛をしていましたが、お出掛けしたいクラスタが発生したため、娘の機嫌がオーバーシュートしてしまい、我が家は完全にロックダウンでした。自粛もしんどいですね。




今週から自主休業しようかと思っていましたが、サラリーマンの悲しい性で踏ん切りがつかず(←チキン)、泣くなく出社しているところです。緊急事態宣言発令に期待している自分がとても情けない。

4月7日(火)

根暗な夫婦から、よくもまあこんなに陽気な娘が生まれたものだと、若干お馬鹿とも思える娘の無類の明るさに、朝から救われている今日この頃です。

さて、私がタバコをやめてもう3年半が経過しますが、件のウィルスは喫煙者に感染すると、より深刻な疾病や合併症にかかりやすくなることが確認されいるらしく、喫煙者の禁煙とたばこ会社への製造販売停止が世界的に呼び掛けられているというニュースが話題になっているようです。

実のところ私の禁煙は、娘と一緒にいると絶対に吸えないのは分かっているけれど、それでも吸いたいというジレンマから、ようやく踏み切れたものだったので、娘のおかげというかなんというか。

結果的に色々と娘に救われている父です。




仕事でも各方面で営業自粛や停止の波がやって来ましたね。いよいよ本土決戦と一億玉砕の再来といったところですか。今回の件で政府も行政も会社もボンクラ揃いだったことが分かりましたが、ボンクラの筆頭はそれを野放しにしていた俺かもしれません。平和ボケっつうか、ただのボケだったんですね。

4月8日(水)

昨日、緊急事態宣言が発令されたが、我が家では妻が早々にリモートで自宅勤務をしていて、既に一ヶ月が経とうとしているので、妻は健康管理のことも考えて、このところ毎日、万歩計で歩数を計っているようなのだが、いつも2,000歩台をウロウロしていて、これはちょっとマズいなと思っていたところ、まさに昨日、1,300歩というあり得ないスコアを弾き出してしまったそうだ。

たしかに緊急事態だ。

さて、そんな妻の状況とは逆に、私は毎日通勤出社、娘は保育園登園で、相変わらずの生活が続いているため、この一ヶ月の間にジリジリと妻と私に認識のズレが生じてきていて、妻から娘の保育園登園を自粛させたいと言われ、そんなことをまったく考えていなかった呑気な私は、さてどうしたものかと頭を悩ませているところだ。

ただ、色々と悩んでみて、もしも仮に今この状況で感染するのなら、保育園という公的な場所で娘が感染してくれた方が、むしろ適切な検査や迅速な対応に期待が持てるし、一番リスクが低いのではないか、などという嫌な打算が働いてしまうほど、国や行政の対応の出鱈目さや深刻さが浮き彫りになってくるのであった。

もう本当に勘弁して下さい。いや、むしろこれからか。



今月に入ってから、仕事の仕様が工程が変更になったり保留になったり、仕事量も明らかに減ったりして、空き時間がかなり多くなっていて、待機のためにリスクの高い電車通勤して出社している感じがして、本当にバカバカしいのですが、会社からの抜本的な対策は、休暇余ってる奴は休めとのこと。なので、今日は15時でもう帰ります。明日はどうしようか。

4月9日(木)

今朝は4時に目覚めてしまった。

毎日、電車で通勤していると、感染するまで終わらない罰ゲームに参加しているような気持ちになる。しかも、感染した場合には、50%は無症状(感染させる側になる)、20%は軽症、20%は重症、5%は呼吸困難、2%が死(医療体制による)という、新たなゲームへと移行する。

知らずしらずとストレスが溜まってしまうのも仕方がない。

ちなみに、ゲーム主人公である私のステータスは


 LV:12
 HP:108 PP:40 オフェンス:22 ディフェンス:8
 スピード:6 ガッツ:10 バイタリティ:7 IQ:8 ラック:9
 そうび:マスク(3日目)


自分で言うのも何だが、ずいぶん弱いな。





持ち帰り用の焼き鳥やらを売っている近所の居酒屋の店主が「暇で暇で毎日かーちゃんと喧嘩ばっかだよ!」と、買いに行く度に威勢の良いことを言っていたのだが、昨日の夕方に唐揚げを買いにいったら、だいぶ静かになってしまっていて、かなり心配だ。こんな美味しい唐揚げは他にありませんから。

4月10日(金)

朝、目覚めて自分の体調に異変がないか確認する。

鼻や喉に痛みはないか。

頭痛や気だるさはないか。

熱っぽさはないか。

そして最後に、部屋の匂いを嗅いでみて、臭覚に異常がないかを確認する。

寝室には家族の匂いがきちんと充満している。

今朝も異常なし。

いくら自己防衛をしていても、電車通勤をしている限り、根本的なリスクは変わらないのだが、出社拒否するほど捨て身になれない自分に苛立ちつつ、むしろ、この状況が捨て身なんじゃないかと虚しくもなる。落ち込んでいく中にも、更に細かな沈み込みの揺れがあって、案外その細かな揺れによって大きく翻弄される。

そう言えば昨晩、伸び放題になっていた鼻毛を切ったのだが、今朝、出掛ける時になって、鼻毛が無いと防御力が落ちてしまうんじゃないかと心配になったりしていたら、娘がぐずり始めてしまった。

本当に辛い日々です。




とまあ、なかなか過酷な一週間でしたが、なんとか終わりました。外出を控える重要性については、多くの情報が発信されていますが、それを知った上での電車通勤は、かなり負担になります。鼻毛の有無が気になるほど。

本日も15時で帰ります。この時間帯の電車なら夕方よりだいぶマシ。来週から朝の通勤時間も変えていこうと思う。会社は未だに抜本的な対策をしてくれないので、こうした判断や決断ができないでいる若い社員にも、私のようなオジさんがいれば、少しは動き易くなるだろう。自主的でささやかな鼻毛ぐらいの防御力だが。

4月13日(月)

先週の緊急事態宣言発令以降、日を追うごとに通勤客も減っていたのだが、今朝の電車はなぜか宣言以降で一番混雑している。嫌々ながらも仕方なしに身を固くして乗車したのだが、雨のため、車輌の窓はすべて閉ざされていて、狂気の沙汰としか思えない、地獄通勤電車となっていた。

さて、とうとう娘の保育園でも、社会活動に関わる特定の職業以外の方は登園を自粛してくれという要請が出た。保育園を閉園するわけではないし、強制力もないのだが、今回の緊急事態宣言自体が自粛や要請にとどまるものなので、まあ、そういうことなのだろう、その旨、さっそく会社に相談したところ、急遽、明日から在宅勤務になって、仕事は暇なのにバタバタしているところだ。

実は、こういう事態になることを見越して、一ヶ月以上前から再三に渡って在宅勤務の対応を要望し続けてきたのだが、会社側はなかなか応じず、こうした事態に陥って、ようやく重い腰が上がった感じだ。他の職場でも、子どもを通わせている保育園や学童で同じような自粛要請が出た社員が何人かいるらしく、今ごろになって各職場が慌てふためいて対応しているところだそうだ。

本当に阿呆らしい。

仕事のやり取りなどどうするか、娘の相手をしながら仕事ができるのか、在宅勤務がいつまで続くのか、その前に仕事が今まで通りあるか。色々と不安はあるが、とりあえず、この通勤地獄から開放されるのかと思うと、正直言って安堵しかない。他の人には悪いけど、とりあえず一番の懸案だった電車通勤という戦線からは離脱できたのだ。これから2~3週間、何ごとも無いことを祈るばかりだが、その先は一体どうなるんだろうか。

まったく先のことが分らない。




そう言えば、こないだ実家に連絡したら、母親から「そんなに電車通勤嫌なら月極めのレンタカーでも借りて通勤すれば?」と言われ、「その手があったか!」と、妙に納得してしまった。ぜんぜん思い浮かばなかった。頭が硬直してる。駄目だね。バイクでもいいよな。

4月14日(火)

さて、晴れて在宅勤務になったわけだが、結局、仕事用のパソコンを自宅へ送る算段がなかなか付かず(上司たちの面子のためにたらい回しにされる)、明日の朝、車を借りて持って帰ってくることになったので、今日は名実ともに待機業務だ。

もうこうなったら昼から麦酒でも呑んでしまえ。

サボリーマンの極致の状況だ。

4月16日(木)

昨日、朝一番でレンタカーを借りて、仕事で使うパソコンや機材を会社へ取りに行ってきた。

朝の都心の渋滞を回避したかったので、できる限り早く出たのだけど、渋滞なんてどこにも無くて、電車通勤なんかよりもよっぽど早く着いてしまった。

しかも、帰りは更に早かった。

う~む。

そんな訳で、いよいよ在宅勤務が始まったのだが、緊急事態宣言が発令されてから、テレビ会議だオンライン飲み会だなんだかんだと、在宅勤務や在宅生活を円滑に進めるための様々なアイディアやノウハウやツールが共有されているが、4歳児と共にする在宅勤務のソリューションが何処にも見当たらないのは一体全体どういう訳なのだろうか。

無理だからである。

仕事量が減っているとはいえ、娘の相手や毎食の準備をしながら、仕事も進めなくてはならないというのは相当な激務だ。そもそも無理な話なのである。

サボリーマンライフを満喫するつもりだったのに!

4月20日(月)

家族三人での自宅引きこもり生活が一週間経過した。

電車通勤の精神的な辛さもさる事ながら、引きこもり生活もなかなか辛く、何が辛いって、この日記を書いたり、本を読んだり、下らないネットサーフィンをしたり、そうしたごくささやかな時間すら捻出できないことが一番辛い。

う〜む、困った。

娘も四歳なので、ある程度の事は自分でできるようになってきてはいるものの、なんでもかんでも完璧にできる訳ではないし、なんでもかんでも聞き分けてくれる訳ではないし、完全に一人遊びをしてくれる訳でもないので、基本的には付きっ切りで対応していなければならない。そうした娘との自宅生活を進めながら、同時に仕事も進めなくてはならないわけだ。しかし、多くの時間を家で過ごしているせいで、娘の様子もいつもと違う。いつもより甘え気味だし、いつもより我がままだし、いつもより付きまとってくるし、買い物に出ようとすると必ず着いて来たがるし、なかなか昼寝もしてくれない。娘が起きている限り、自分のことはおろか、仕事も進まないのが現状だ。

う〜む、困った。

そんな訳で、娘に色々と言い聞かせようとして毎日苦労しているのだが、娘を叱ってばかりいるような気分になって本当に嫌になる。このまま、この生活を続けていくのかと思うと、ちょっと絶望的だ。保育園のありがたさを痛感する日々だ。




気分転換に近くの公園に遊びに行っても、休校や休園の子どもたちでいっぱいで、感染の不安もさることながら、危なくてゆっくり遊んでいられません。どこにも逃げ場がありません。そして、自ずと酒量が増えてゆきます。悪循環。

4月23日(木)

今日、朝4時に起きて、昨日の日中にぜんぜん進められなかった仕事に取り掛かる。娘が起きてくるまでが集中できる唯一の時間。貴重だ。おかげで6時過ぎにはなんとか目処が立った。朝の集中力。恐るべし。

さて、最近は更に外出できなくなっている(在宅勤務のため)ので、ちょっとした買い物にまで娘が付いて来たがるようになってしまっている。スーパーや量販店では、今でこそ感染防止措置が取られ始めたが、レジ前ではけっこうな人混みに並ばなければならないので、できることなら娘は連れて行きたくない。だから、この朝の時間を使って、近所の24時間営業のスーパーへ日用品を買い足しに行くことにした。
ヤシノミ洗剤詰め替えパウチ1000ml、クイックルワイパーのフロア用ドライシート50枚、激落くんクエン酸400g、台所用水切りネット浅型100枚などなど、品物をカゴに入れていく。家族3人で自宅に籠もって生活していると、驚くほどモノの減りが早いことに気付かされる。

それから、いつもダメ元で確認する手洗い用の液体石鹸の棚は相変わらず商品の影も形も無い。もちろんマスクも無い。同じくダメ元で消毒用アルコールの棚を見に行くと、ガランとした棚の隅にカビキラーキッチン用アルコールパウチ350mlが3袋だけひっそりと並んでいた。

早起きし過ぎたせいで、寝ボケているのかと思ってしまうほど、ここ最近見たことのない光景だったが、それは現実だった。流石に全て買い占めてしまうことには抵抗があったが、背に腹は変えられないので、2袋をカゴに入れ、その上に明治チョコレートの詰め合わせパックをカモフラージュのために(←誰から?)そっと載せた。

まさか、こんなところでこんなレアアイテムをゲットできるとは。かつて、RPGゲーム『マザー2』でスーパースターマンから「おうじゃのつるぎ」をゲットした時ぐらい嬉しかったが、除菌アルコールのパウチごときでここまで喜べるなんて、まあ、幸せといっていいのではないだろうか。



よく見てみると棚の上にもいくつかストックがあったので、除菌アルコールは生産が追いついてきたのだろうか? それともやっぱりラッキーなだけだったのか?

4月24日(金)

朝早く起きて、掃除と洗濯を手早く済ませ、台所を片付ける。ついでに少し仕事も片付けようかと思っていると、娘が目を覚ます。着替えを手伝ってやる。時間を気にせずゆっくり朝食を食べ、仕事の状況をみて、時間に余裕があれば、人の少ない朝の町へ娘を連れて散歩に出る。

そんな風に、毎日の生活を、トイレをゴシゴシ磨いたり、鍋をグツグツ煮込んでいたり、タオルをパンパン叩いたりしていると、なんだかこの感じ、とても懐かしくて、とても親しみを覚えるな、なんて不思議な気分になることがあるので、自分の朧げな記憶を辿ってみたら、つい四年前、娘が産まれたばかりの育休生活に、とてもよく似ていることに気が付く。

毎日、家族三人家にいて、毎食、家で作って食べて、いつもよりちょっと酒量が増えて、社会から隔絶されてしまったようで、初めてのことで先を見通すことができず、自分の生活が変わっていくことに不安や戸惑いを覚えながらも、自分なりに一生懸命、生活を前に進めていく感じ。

あれから四年、まあ、なんとかなっているのだから、まあ、今回もなんとかなるのだろう。自分なりに生活を前に進めていけばいい。逆に、それ以上のことは俺にはできないのだから。




昨晩から喉に痛みがある。たぶん酒を飲み過ぎた時の酒焼けのようなものだと思うのだが、かなりビクビクしている自分がいる。情けない。