うちの近所には野良猫がいる。
うちの近所には野良おじさんもいる。
野良猫は欠伸をしたり糞をしたり発情したりして、基本的には日がな一日ゴロゴロしている。
野良おじさんは煙草を吸ったり酒を飲んだり痰を吐いたりして、基本的には日がな一日ウロウロしている。
そんな私は岩井俊二のスワロウテイルを見て、懐かしすぎて泣いていた。
先週、所用で某ホテルに赴いたところ、リクルートスーツの若者がゾロゾロと出てくるので、入社式でもやっていたのかと思ったら、某大学の入学式だった。
ベージュのトレンチコート。真っ黒なスーツ。真っ黒なパンプス。
皆が皆、申し合わせたように頭から爪先まで同じ格好だった。
大学の入学式って、もっと浮き足立って良いのではないだろうか。
かく言う私は、人より遅い大学入学に着て行くような素敵な服の準備もなく、お気に入りの綿パンにセーターを着て行ったのは良き思い出である。
まあしかし、閉塞感漂う世情ではありますが、皆さん賑わって行きまっしょい。
卵牛。
私が世界で一番好きな料理だ。
すき焼きのことである。
とても良質な牛肉を頂いた。卵牛にするしかないような肉である。そのためにすべての準備を整えた。
ただ、今日は人の出入りが多かった。しかし、もてなす程の肉の量はない。
日曜である。
すぐに引けると思っていた私が馬鹿だった。来訪者は呑んべいなのである。
卵牛のタイミングを逃した。
卵牛。最早、5年も口にしていないのである。
夜中、喉の乾きで変な時間に目が覚めてしまい、寝ぼけ眼で台所に水を飲みにいった。喉が潤うとなんだか煙草が欲しくなり、おもてに出て夜風と共に一服。
人心地してから寝室に戻ると部屋が赤子の匂いで充満していた。
春の夜長に新たな命を実感するのだった。
愛する娘のそばにできるだけ長くいたいので、今日の仕事を早くきりあげるにはどう段取りしたものかと、出勤時の電車内で思案していたら、向かいに立っていた女性の胸元を無意識に凝視してしまっていた。
胸元が大きく開いた春のニットを着た素敵な女性だった。
幸いなことに女性は私の視線に気付いていなかった(と思いたい)が、無意識とはいえ自らのさもしい習性には心底嫌気がさした。
でも、娘よ。待っていろ。すぐ帰るぞ!
そんなこんなもありながら、父ちゃんはいいこと思いついたんだからね!
金曜日である。
みなさん、ちゃんと、呑んで歌って踊っているだろうか?
私は家でしっぽり呑んでいる。
さて、そんなしっぽり酒のあてに夕刊をなんとなく眺めていたら、週末の封切り映画の特集に目が止まった。そう言えばここのところ映画館に行っていないなと思いつつ、記事に目を通していると、なかなか面白そうな作品が目に止まる。
「レヴェナント:蘇えりし者」
レオ様悲願の受賞作か。ふむふむ。
「緑はよみがえる」
ベルリン映画祭のやつだ。どうだろか?
「山河ノスタルジア」
前にヴェネチア獲ったジャ・ジャンクーか。期待。
「花、香る歌」
韓国のは最近重いんだよな。でも時代劇なのか。
「アイアムアヒーロー」
そ。そうくるか。。。
と、まあ、なかなか多彩な作品が出揃っていた。
しかし、記事やタイトルの横に「PG12」「R15+」「R18」と表記されていて、最初は面白い映画の評価基準かと思ってたんだけど、あれは年齢規制なのね。
面白そうだと思う映画に限って、この規制がしっかり入っているってことは、酒や煙草と一緒で、オモロいもんは大人だけで楽しもうってことなのか?
映画もそういうものに成り下がってしまったんだな。
悲しい。