2016年 7月
7月2日(土)

昨晩、作家の椎名誠さんもよく呑みに行く新宿の居酒屋に行った。店は末広亭界隈の雑多で猥雑な町並みによく馴染んでいて、店内の雰囲気も呑兵衛にとってはとても良い感じ。そして、なんといっても安くて美味しい!

あと、幸運な事に、すぐ近くの席で漫画家の久住昌之さんと私の大学の先輩であるみうらじゅんさんが呑んでいて、せっかくなので少しお話をして、一緒に写真も撮って頂いたのだが、写真を保存し忘れて消えてしまった。快く撮影に応じてくれたのに申し訳ない限りである。

その後は二丁目を探検し、ラーメンで〆て、家路についた。

娘が産まれてから仕事と家の往復で、外食はもちろん、呑みに行くこともめっきり減り、昨晩はかなり久々の父の夜遊びだった。

夜遊びは楽しい。

今度は母にも夜遊びに行ってもらわないとな。

7月7日(木)

このところ不眠なのだ。

こないだまでは睡眠10時間などわけない熟睡おじさんだったのに、先週あたりからパッタリ眠れなくなった。

仕方ないので本を読んで睡魔を誘う努力をするのだが、そうこうしているうちに東の空が白みはじめ、始発電車が動きはじめ、物語も終わりを迎えるのだった。

そして、朝、私がダイニングの椅子に座ってボーッとしていると、泳ぐような感じで床の上を自在に移動する方法を身につけた娘が、時にはバサロ、時にはブレストで、私の座っている椅子の下を華麗に通過していくのだった。

7月9日(土)

投票。

危うい政治情勢と劇的な社会情勢のもと、明日は参議院選挙の投票日である。

ネットやSNSでは意識ある人たちが様々に投票行動を呼びかけているが、何がなにやら分からない状況になっていて、自分の一票を活かすにはどうすればいいのか悩んでしまう。

その一方で、争点の多い選挙であろうがなかろうが、政治にまったく無反応という人たちが世の中にはかなり多く存在していて、今回も選挙後の投票率を見て愕然とすることだろう。

ネットやメディアでは今回の選挙は色々と取り沙汰されているが、自分の身の回りの生活圏内できちんと話題になっているだろうか?

なっていないのだ。

まったくもう。

投票するヤツ ♪ だいたい友達 ♪

7月13日(水)

庭のグランドカバー計画(特定の植物の育成により雑草を防ぐ)が着実に進行しつつあるのだが、ある一カ所だけがなかなか定着せず、いつも踏み荒らされたような感じになっているので、野良猫の通り道にでもなっていて、うまく育たないのかと思っていた。

ところが、今日、仕事から早く帰ってみると、少女たちがパタパタパタとウチの庭へ入っていくではないか。

なんだろうか? と後を追ってみると、ウチの庭の件の踏み荒らされ地を通って室外機に上がり、そこからウチと隣家との境界の塀によじ登り、ワーワー!っと建物の隙間の中に走り去ってしまった。

まさか野良少女たちの仕業だったとは。

こんどアイスでもご馳走してやらないとな。

7月14日(木)

夕飯を食べ終えた頃に豪雨が降り始めたので、一服がてら外の様子でも見てみようと外に出た。

道路は完全に冠水し、激しい雨音だけが響き渡る。

街灯の明かりが雨に反射して、不思議な陰影を映す。

人影はまったく無い。

悪くない情景である。

私がそんな風に軒先で豪雨の一服を楽しんでいると、若い女が逃げるように駆け込んできた。

女 「道が、もう歩けないんです」

私 「この雨じゃ、落ちつくまでここで雨宿りしてかまいませんよ」

女 「いや、もう、いいんです」

女は何もかも諦め、覚悟を決めたという感じで私に微笑んだ。魅力的で色気のある微笑みだった。

そして、女は豪雨の中へ走り去っていってしまった。

豪雨の夜はすべてが揃っている。

私がパンツ一丁であるということを除いては。

というのも、こんな豪雨におもてに人なんか出ていないと思い、どうせ濡れるんだしパンツのままでいっか、とパンツ一丁の姿で一服していたのである。

俺のバカ!バカ!バカ!

7月21日(木)

軽井沢から白馬へ。

長野を北西に縦横断する旅に出た。

初夏の暑い日差しの下、深緑が繁る山間を辿り、長いトンネルをいくつも抜け、何本も川を渡った先に白馬の盆地が現れる。

荘厳な山脈に囲まれ、水田が青々と眩しく輝き、澄んだ空気に包まれた白馬村は、まさにこの世の桃源郷のようであった。

土地の新鮮な野菜や魚を食べ、目的もなく山道をぶらつき、美味い珈琲を飲み、熱い風呂に入り、冷えたビールをゴクり。

若い頃は自然や生活の豊かさになんて、あまり感動や感心を見出せなかったが、今はしみじみ「イイな〜」と思えてしまう。

それもなんだか本当のおじさんになってしまったようで少し寂しいことではあるが。

でも、東京脱出を本気で考させられてしまった。

7月25日(月)

空がうっすら白みはじめる頃、なにやらヒョコヒョコ動いている。

「お〜い」と声をかけると、なにやらモニョモニョ近づいて来る。

寝ぼけ眼でよく見てみると、なにやらとてもニコニコ笑っている。

娘である。

近くまでやってきたので頭を撫でたり、頬っぺたをつまんでやるのだが、私はどうにも眠くて二度寝。

そのうちに目覚ましのラジオが流れ、いよいよ朝かと起きてみる。

娘はグーグー眠っている。

そんな週明けの朝である。