2021年 9月
9月1日(水)
娘曰く、鍋を熱するコンロの火力によってコロナウィルスは死滅してしまうため、鍋物であれば食事中に会話をしても感染の心配がないということだ。
同様に、焼肉やお好み焼きやすき焼きなども、黙食の対象から除外可能とのこと。
飛躍や矛盾はあるものの、五歳児の論理的思考力としては、まあ、まずまずなのではないだろうか。
いいぞ。
たかがリモートワーク実現のために、こんなに無駄な労力や胆力を使うなら、黙って通勤して黙って業務を遂行している方がよっぽど楽だったと思うけど、まだまだ諦めないんだからな。
いやしかしほんと、会社の論理って建前とか面子とか根回しとか、男社会の駄目な感じばかりに直面する。
9月2日(木)
明日の午前中、会社から自宅に機材を搬入のうえ、無事、在宅勤務開始の運びとなった。
ここまで来るのに二ヶ月。長かった。
この場でも、この件に関する愚痴を書き連ねてきたので、読んでくれた皆様には本当に申し訳なく思いつつも、色々とご意見やご指摘を頂き、たいへん励まされた。心から感謝申し上げる。
たかが在宅勤務の実現に、こんなに時間と労力を費やさなくてはならないのなら、いっそのこと諦めた方がいいのではないかと何度も思ったし、当初の目的とはだいぶ違った形になってしまったものの、ささやかながらも感染拡大と医療逼迫の抑止の一助を担うことができると思えば、これまでの苦労も多少は報われる。
しかし、政府が無能だと、私のような自堕落サボリーマンまで頑張らなくてはならなくなるので、本当に困る。
こんな急に物事が動くと思っていなかったので、デスク用のおやつを買い込んでしまっていた。さて、どうしたものか。
9月3日(金)
本日、午前中に機材の搬入・設置作業を終え、ネットワーク接続やデータ移行の状態を確認し、無事に在宅勤務に移行することができた。
去年の家族全員在宅という中での完全在宅勤務から一転、今回は私一人だけの在宅で、定期的に会社にも出社するため、作業能率的にも精神衛生的にもずっと良い感じがする。
まあ、やっとここまで来たのだなという感慨もあるが、拍子抜けするほど速やかに進んでしまっただけに、これまでの擦った揉んだは一体何だったのかという感じもする。
とりあえずまあ、今夜は祝杯だ。
作業が一段落した今日の昼前、時の首相が事実上の辞任宣言の速報が流れてきた。俺が在宅勤務にここまで尽力しなくてはならなかった一端には、あなたの責任が大きいのだからな。兎にも角にも国会開けよな。
とりあえずまあ、今夜は祝杯だ。
9月4日(土)
最近、朝はスッキリサッパリ目が覚めることができる。適度な運動の後のような、爽やかな気怠さと、溌剌とした心地良さの目覚めは、とても良い感じだ。
今月に入って突然、夜は肌寒いぐらいの涼しさになったので、とても深い睡眠がとれるようになったのだ。涼しくても喉や鼻を痛めることがなく、エアコンとは質がまったく違うことを如実に感じる。
まあ、在宅勤務が無事にはじまったことも、少なくない影響としてあるのだろう。
睡眠も労働も、環境は大事だ。
9月6日(月)
先週は設置や設定であたふたしていたので、実質的な在宅勤務は本日より開始。
去年は座卓で作業をしたために、かなり辛い目に遭ったので、今回はその教訓も踏まえて食卓で作業をしているのだが、やはり職場のパソコン用デスクやチェアには敵わないのだなと痛感しているところだ。
あと、仕事に並行して、台所の大掃除を始めてしまったのだが、ちょっと掃除範囲を広げ過ぎてしまい、夕飯の準備までに収拾がつくかどうか、ワクワクドキドキである。
昨晩、娘にベッドから蹴り落とされたので、あまりにも酷いのでイジケるフリをしていたら、突然、娘の歯が抜けて、私のイジケアピールすらどこかへ消し飛んでしまった。
9月7日(火)
昨晩、あまりにも寒くて深夜に起きてしまった。
おかげで眠い。
さて、今日の在宅勤務は、庭の雑草駆除と並行して行おうと思っている。段取りが必要な昨日の台所掃除とは違い、とにかく雑草を抜きまくり、途中でもすぐに引き上げられるため、比較的うまくできるような気がしているのだが。
どうだろう。
何れにせよ、睡眠不足が最大のボトルネックである。
在宅勤務で辛いのは、昼食を作る際、冷蔵庫を開けると目の前にほどよく冷えた麦酒瓶が、心地よさそうにこちらを見ていることだ。
こんな時は、故・中島らも氏の名言
「コ、コブラうどん !?」
を思い出すようにしている。危険回避の名言だ。食べたら確実に死ぬ。飲んだら確実に寝る。
9月8日(水)
今日は5日ぶりに出勤。
緊急事態宣言は延長される見通しのようだけど、嘘か本当か新規の感染判明は減少傾向で、もう少し早く何とかならなかったのか、などと思いつつも、在宅勤務の恩恵を存分に活かしている面もある。
丁寧に食事を作れるとか、しっかり掃除ができるとか、存分に洗濯ができるとか、在宅勤務のおかげで生活に費やす時間が増えたことで、本当に助かることが多いのだ。
でも、よくよく考えてみると、これでやっと「健康で文化的な最低限度の生活」に届くぐらいだよな、などとも思ってしまう。
昨日の庭の雑草駆除のせいで今日は軽い筋肉痛だが、作業が捗ったせいか不快というよりは心地良い痛みに感じるから不思議だ。
9月9日(木)
来週、二回目のワクチン接種の予定があるのだが、まあ何れにせよ、なんとか無事にここまで来られたなという感慨がある。できれば副反応もなく無事にやり過ごせれば良いのだが、どうなのだろう。
あと、嘘か本当か新規の感染判明は減少傾向とのことだが、減少している明確な原因は分かっていないようだ。減少傾向は歓迎すべきことなのだが、どうなのだろう。
そんな中、今月30日まで緊急事態宣言が延長されることになったようだが、どうなのだろう。
しかし、ここ数年、9月に入ると突然気温が下がり、長雨に見舞われることが多い。夏の余韻を楽しむ機会が奪われてしまっている。けっこう由々しき事態だと思うのだけど、どうなのだろう。
今朝、玄関で中齢のGを発見、即刻駆除した。気温が下がってくるこの季節、奴らは温もりを求めて家屋に侵入して来るので、一年の中で最も注意が必要だ。
反応反射音速光速!
9月10日(金)
涼しいだけでこんなによく眠れるのかと驚いてしまうほど、ここ最近、心地好い深い睡眠をとれていたのだが、悲しいかな5時にはきっかりぱっちり目が覚めてしまう。老年か。
しかし、もう来ないと思っていた夏の陽気が突然戻ってきて、ちょっとホッとしている自分がいる。
俺。夏が好きだったんだな。
今週末は、なんとか雨は降らないかもしらん、という微妙な天気予報だけど、感染者も減少傾向だし、久々にどこか遊びに行けるかもしらん。
今日みたいに、他愛のない茶飲み話のような日記を目指しているのですが、なかなかそうもいかない世知辛いご時世です。
今年は、台風は大丈夫やろかしらん。
9月13日(月)
またもや雨の週末だった。もう限界だ。
流石にここまで外に出られないと、家庭内には一触即発の剣呑な空気が満ち溢れ、親と子の諍いも絶えない。正直、週末が億劫だ。
あまりやりたくはないけれど、もしもまた、次の週末も外出できないようなことになるのなら、Netflix や Amazon Prime Video を完全開放にした方が、家族円満のためには有効なのかもしれない。いやむしろ nintendo swich とかも買っといた方が良いのかもしれない。
娘はもちろんのこと、私も楽しめないと、もう限界だ。
雨天のせいもあるのですが、もう少し感染が落ち着いてくれないと、家族で出掛けようという気にはなかなかなれないですよね。
あと最近、自宅の近隣800㍍圏内を大切にして生きていこうと思うようになりました。
9月14日(火)
朝の起床時には、ほぼ例外なく娘が愚図る。なだめすかしながら、ベッドから連れ出し、着替えを促し、保育園の支度をさせ、食卓のある居間まで移動するよう辛抱強く待つのだが、この一連の流れに、早ければ10分、遅い時は30分ほどかかる。
更に、食卓についてから、またひと愚図りあることも珍しくなく、まるで終わりの見えないトゥクトゥクの値段交渉をしているみたいで、流石に今朝は、私の忍耐力の方が途切れてしまった。
まさか、ここはバンコクか? いやチェンマイか?
しかし、こうした朝の駆け引きって、いつまで続くんだろうか。朝から精神力も体力も削られて、地味に辛い。
明日は二回目のワクチン接種ですが、何事もないことを祈ることしかできないというのも、なんというか、もう21世紀のはずなんだけどな、とも思ってしまいます。
9月15日(水)
昨日の朝の一件から何か思うところがあったのか、今朝の娘は特に愚図る様子も見せず、目を覚ますなり自発的に朝の支度や食事を終えて、何の問題もなく非常に円滑に登園することができたのだった。
うむ。
でも、一度こうした姿を見てしまうと、また次に娘が愚図った時に、こないだはできたじゃないか! などと、手前勝手な期待によって、また新たなる衝突が生まれたりもする。
期待。
厄介な感情である。
今朝、二回目のワクチン接種を終えた。今のところ問題はないが、接種を受けた左腕の怠さと軽い目眩を感じはじめている。
9月17日(金)
二回目ワクチン接種の翌日。つまり昨日。全身の倦怠感とひどい頭痛で朝起きあがることができず、おまけに夕方には熱が出てきてしまった。
今朝は昨日より良くなったものの、通勤するのはちとキツいと思い、出社予定だったところを、急遽、在宅勤務とさせてもらったが、素直に休暇を取れば良かったなと、今頃になって後悔している。
でもあれだな。体調悪いと欲が出ないから、いつもより落ち着いて過ごせる。
明日から台風14号の影響が出てくるようだけど、今年の台風模様はどうなるのだろうか。毎年けっこう恐れている。
9月18日(土)
今日は妻の和裁の実技検定試験があるうえに、私がどうしても出社しなくてはならなかったので、娘は保育園で預かって貰うことになっていたのだが、ご存知のように運悪く台風なのである。
しかも、更に運悪く、登園時間が一番雨脚の強い頃合いにぶつかってしまったため、保育園に到着するなり娘は着替え、私も家に戻って着替えてから出社した。
そんな訳なので、今日の我が家は土曜日なのにそれぞれの持場で孤軍奮闘しているところだ。
それぞれの任務を無事に終え、家族三人無事に再会できた暁には、お互いを存分に労おうではないかと思っている。
英語学習サイトで一年半ほど地道にレッスンを続けていて、あと8レッスンですべてのレッスンをコンプリートできるとこだったのだが、今日、いつも通りレッスンを始めようと思ったら、新しいレッスンが30ぐらい追加されていて、なんというか、気持ちがちょっと。
9月21日(火)
昨日、家族で芝生の広場のある近所の公園に出掛け、おやつを食べたり、絵を描いたり、本を読んだり、ラジオを聴いたり、うたた寝したり、たまに芝生を裸足で歩き回ったり。
ずいぶん久しぶりの快晴の休日で、気候はすこぶる心地好く、太陽の光や温もり、風の肌触りや匂いを感じながら、時間の流れを思う存分楽しむ。
素晴らしいことだ。
あと、メロディを大切にしていた時代の音楽って、質素な音響で屋外で聞くと、胸が張り裂けそうな気持ちになるね。
日曜日は、電車で睡蓮池のある公園にザリガニ釣りに行ったのですが、爆釣の予感がしたので途中でやめました。パンデミックがなかったら、こうした屋外での楽しみ方に、なかなか気づけずにいたと思うな。
9月26日(日)
ここのところ、顕著に生意気さを増していく娘の姿を眺めていると、五年前、涎を垂れ流しながらずり這いしていた頃の娘の姿を思い出す。
父親初心者の私としては、日々の娘の成長に希望や喜びを感じつつも、同じぐらい不安や怖れを感じていた頃で、商店街や保育園で6歳ぐらいの子どもたちの自由闊達な姿を見ても、娘が同じように成長していく姿をうまく想像することができなかった。
人間としても動物としても、今ひとつ頼りないこの生き物が、今後、言葉による意思疎通や自立した行動を行うことができるのかどうなのか、正直言って半信半疑だったが、今や、口ごたえも朝飯前だ。
今思えば、あの頃の自分は杞憂に尽きる状態だったと分かるのだが、翻って、今の娘の姿から、中学、高校に進学していく娘の姿を想像するのは至難の技である。
それより何より、まずは自分の心配をしろ、というのが正解なのかもしれないな。
今日は久しぶりに友人たちやその子どもたちと遊ぶ。もちろん、まだこんな状況なので、屋外でピクニック。酒は、、、どうしようかの。
9月27日(月)
スイミングスクールでは、二ヶ月に一度、進級の検定テストがある。
残念ながら昨日のテストで娘は進級できず、更衣室に戻ってくるなり弾けるように泣き叫び、そこらのものに八つ当たりをしはじめた。
「スイミングなんかやめてやる! プールなんかぶっこわしてやる!」
娘の大暴れに更衣室内は一時騒然となり、騒ぎに驚いて駆けつけたコーチに対しても「あっちにいけ!」と、敵意剥き出しの臨戦態勢。
これは、少し落ち着くまで放っておくしかないなと思い、被害が周囲に広がらないよう注意しながら、娘が泣き疲れたところを見計らい、抱きかかえるようにして慎重かつ迅速に帰宅した。
まあ、なんとか事なきを得たのだが、久しぶりの壮絶な状況に、どっと疲れに襲われる日曜日の朝なのであった。
しかし、また二ヶ月後が思いやられるなぁ。
この地獄のスイミング後は、友人たちとピクニックで、昼前から夕方まで遊び通し、さらなる疲れに父は襲われるのでした。
9月28日(火)
4月から妻が多国籍商店の多い街に通いはじめたので、これまで食べたことのないような香辛料や素材のオリエンタルでエスニカルな食べ物が、定期的に我が家の夕餉を彩るようになった。
どの料理も魅力的で個性的な美味揃い。特にマトンビリヤニは絶品で、事あるごとに妻にリクエストしているのだが、最近は店頭になかなか出ないようで、久しくご無沙汰である。会えないと恋しさ募る。まるで恋愛のようにマトンビリヤニに恋い焦がれる毎日である。
惣菜以外にも、冷凍・レトルト食品の顔ぶれも潤沢で、こちらも粒揃いの美味揃い。化学調味料や食品添加物が使用されていないところも嬉しい。
ちなみに、娘はハニーバターアーモンド & ベイクドコーンのスナックがお気に入りで、現地語の商品名を憶えてしまったほどだ。(現地発音:クンノ ススモス アモンデ)
まだしばらくは、各国食材が楽しめそうで何よりである。
いつも素足で靴を履いている娘の足から、何やら不穏な臭いが漂ってきたので、風呂場で入念に洗ったのだが、まだ臭い。
よくよく臭いの元を確認してみたら、ふくらはぎに一週間ほど貼りっぱなしになっていたムヒパッチが元凶だった。
めちゃ臭い。
9月29日(水)
どちらかというと、どこかの政党の総裁選よりも、台風16号の動向の方が気になるが、とりあえず、真平新報が月内に発行できたことに今は安堵しているところだ。
個人的には、ちょっと小ぢんまりした紙面になってしまった感があるが、とりあえず間に合って良かった。まあ、内容はともかく、今号の完成はちょっと祝杯あげたい気分だ。
早く帰ろ。
娘と「ヤダ!」とか「ダメ!」とか言い合いをしていると、北野武監督の映画『アウトレイジ』の「バカヤロ! コノヤロ!」の応酬の名場面を思い出してしまい、途中でどうでもよくなってしまいます。
9月30日(木)
原因不明ながらも感染激減のおかげで、緊急事態宣言が本日をもって全面解除されるそうだ。
ひとまず良かった。
ただ、日を追うごとに増えてゆく通勤客や街場の人出を目の当たりにしていると、喧騒と狂乱に満ち溢れたかつての都市生活が再燃するのだなと思い、少し暗い気分になる。
もう少し平穏で温和な日常を望んでいるだけなのだが、ちょっと高望みしすぎか。
まあでも、とりあえず居酒屋でキンキンに冷えた生ビールをジョッキで呑みたい。
今朝、台風の備えというか、吹き飛ばされそうなものだけ倉庫に仕舞った。二年前のような奴だとやばいけど、今のところ大丈夫そうですよね。