2019年 3月
3月1日(金)

よく保育園で会うお母さんは、頭の先から足の先まで、見事なまでに完璧にセットアップされていて、いつも神々しいく、私のような下賤の者は、その眩しいお姿の邪魔にならないよう、少し距離を置き、祈るように御挨拶させて戴いている。

だが、そんなお母さんも、流石に週末近くの金曜日のお迎えの時は、睫毛の先にわずかに疲れが見られることがある。

そんな姿を見て、やはり同じ人間だったのかと、私は少し安堵するのだが、睫毛の先だけというのも驚異であることには違いない。


俺も髭ぐらいは剃るか。

3月2日(土)

冠婚葬祭で現金を包む場合に、どんな袋がいいか、表書きはこうだ、金額はどうだ、中袋はああだ、新札だ、古札だ、札の向きはどうだ、こうだ、ああだ、、、

とまあ、色々な決まり事があって、実に煩わしいのだが、冠婚葬祭の受付を経験された方ならお分かりだろう。

悲しいことに、その殆どの作法にあまり意味が無いのだ。

上記のような我々が労する気遣いは、受付の段階で無残かつ事務的に処理されるため、「ピン札じゃない! 札の向きが揃ってない! あいつは失礼だ!」なんて確認すること自体が不可能だ。それ以外の約束事も当事者が確認できることとしたら、額面と袋の華麗さと肉筆の美しさぐらいではないだろうか。

だが、無意味と分かっていながらも、慣例に従い、粗相の無いよう、明日の結婚式のため、律儀に祝儀を包む自分がいるのだった。情けない。


これでしばらくは結婚式は無いかな。

3月5日(火)

昨日の帰り道、雨の中を娘と一緒に歌いながら帰ってきた。

 あっめ あっめ ふっれ ふっれ とっうちゃんが~ ♪

 かっぱでぇ おっむ かっえ うっれ しっいなぁ~ ♪

すると、娘が「とうちゃん 間違ってるよ」と言うので、私は「そう? 歌のほうが 間違ってるんじゃない? 北原白秋でも間違えるんだな!」と答えて、またつづきを歌い始めた。

 ぴっち ぴっち ちゃっぷ ちゃっぷ どんどこどん ♪


今日は雨が降っていないから「ぞうさん」でも歌って帰るかな。あの歌詞も間違ってるんだよな。まったく。

3月6日(水)

娘と二人きりの夜は、前の晩に夕飯の準備をしておいて、保育園から帰ったら、できるだけ早く食事ができるようにしている。

今までだと、三色丼や炒飯やスパゲティなどの主食に、ちょっとしたサラダや惣菜を添え、ワンプレートに盛り付けてできあがりだ。

素早く 手軽に 美味しく 栄養満点 がモットーだ。

明日も二人きりなので、今度はドライカレーに挑戦しようと思っている。

カレーは卑怯かもしれないが、狙うは完食なのである。

3月11日(月)

今朝、娘は上下とも同色ドット柄というヤヨラー(草間彌生の作品に由来する)全開の出で立ちで、雨の中を元気に登園していった。

遡ること去年の今頃。やはり雨の日に、娘はヤヨラー登園をしている(去年3月5日の日記より)のだ。

どうやら雨とヤヨラーの間には、何らかの深い因果関係が隠されているようだが、んっ!? ちょっと待てよ!

「ドット ≒ 水玉 ≃ 雨」ってことか?

娘よ。単純すぎじゃないか?

3月12日(火)

大学2年になる春休みに実家を出て、国分寺から少し外れた恋ヶ窪という不思議な地名の安くてボロいアパートで一人暮らしを始めた。

家財道具は欅の座卓と冷蔵庫と洗濯機だけ。とても簡素で貧乏な生活だった。昼は大学に通い、授業が終わると吉祥寺の喫茶店でアルバイトをし、夜は恋ヶ窪のアパートへ帰る。週末になると都心へ出て朝から晩までちょっとキツめのアルバイトをしていた。

生活と課題とアルバイトに追い立てられ、色々と大変で忙しない毎日ではあったけど、かろうじて経済的に自立ができていたし、好きなことを学べる日々だったし、たまに気分転換に学校を休んで立川や調布や三鷹や小金井の方に100ccのオンボロスクーターで遊びに行ったりもしていた。

今思えば、けっこう自由で充実した生活を送っていたのだ。

青年期のほんの束の間ではあったけど、自分の生き方の核となるような部分を育んだのが、この武蔵野の土地だったが、あれから14年、実のところ、私は武蔵野の土地に一度も足を踏み入れていない。

という訳で! 突然ながら明日は有給休暇である! 半年に一度の恒例行事(?)となった父の一人散歩を決行する予定だ! そして、今回の散歩の内容はズバリ!

失われた時を求めて in 吉祥寺

14年ぶりの武蔵野探訪! 楽しみだ! 娘よ! 風邪をひくなよ! もう映画のチケットとっちゃったからな!

3月14日(木)

昨晩、買ってから既に2ヶ月以上は経過しているだろうプラモデルをようやく箱から出し、ランナーごと軽く洗浄してから主要なパーツだけ外して仮組みをしてみた。

ふむふむ、こんな感じか。

どんな手順で作業をしようか考えつつ、バリを取ったりゲートを整えたりしていたら、2時間近く経っていた。

机に向かって手作業をすること自体がかなり久しぶりのことだったので、朝起きると肩はバキバキ、眼はショボショボ、頭はボヤボヤ。おかげで、今日は使い物にならなかった。

だけど、画面に向かってマウスやペンタブやキーボードをカチカチやるばかりの日々で、物理的に物を作ることからどんどん離れてしまっているから、これを機に10分でも15分でもいいからプラモデル作りを日課にしていこうと思う。

手作業から離れることは人としてもちょっと取り返しが付かない気がする。線を綺麗に引けなくなってるもん。

3月25日(月)

今年に入ってから月刊で個人新聞「真平新報」を発行(頼まれてないけど)している。

この日記以外にも、もう一本ぐらい定期継続のコンテンツが欲しいと思っていたが、なかなか持続できるものが無くて諦らめかけていた(頼まれてないけど)ところ、突然思いついたのが個人新聞だった(頼まれてないけど)のである。

今日で第3号の発行となるのだが、今後も何とかやっていけそうな感触を得たので、コンテンツの一つとして正式にメニューに入れようと思って(頼まれてないけど)いる。

ただ、一つだけ懸案事項があって、毎月25日発行にしている(頼まれてないけど)のだが、月末は仕事や生活も立て込んでくるので、発行作業がけっこう大変なのだ。特に今回は年度末ということもあって、危うく発行を落としそうだった(頼まれてないけど)のだが何とか踏ん張った。

5日とか10日発行にしたほうが、もう少し余裕を持った編集ができると思うのだが、そもそも、発行日を変えたところでネタが有るのか? という問題もあるので、とにかくこのままやってみよう(頼まれてないけど)と思います!

真平新報」は購読料無料の画期的で斬新でオルタナティブな新聞です!(頼まれてないけど)

3月26日(火)

我が家では、30㍑のポリ袋にゴミをまとめ、回収日に捨てている。回収日は週2回で、ポリ袋にちょうどぐらいのゴミが溜まるのだが、ここのところ、半分にも届かない量が続いている。

はて? どうしたことか? 物の怪の仕業か? などと、馬鹿なことを考えたりもしたが、理由は実に簡単、紙オムツが無いのである。

ゴミも減り、手も掛からなくなり、嬉しいことだらけではあるんですが、なんか、その、ねぇ。。。

桜。 咲いてきましたよね。

3月28日(木)

夜、娘がパンツで寝ると言うので、布団に防水シートを敷いて寝かせたが、朝、心配していた寝小便はせず、初挑戦にして見事な成功を遂げるのであった。

ちなみに、私は小学校6年生まで毎日のように寝小便をしていた。今だったら専門外来に通院しなくてはならないレベルのことだが、逆に私は寝小便を通して人生の処世術を学んできたような面もあるので、一概に寝小便が悪いものとは言わない。寝小便ごときものなど天晴憐れの大歓迎なのだ。

とは言え、まあ、しかし、早くも父を乗り越えていった娘に、ちょっと嫉妬もある。

俺は12年かかったのになぁ。 う~むぅ。

3月29日(金)

今日の夜は旧友と会食、明日の日中は保育園のクラスのお花見、夜は屋形船で職場の年度納めと、楽しい社交の酒が酌み交わされるわけだが、私は密かに心配している。

この三年の育児生活によって、数ヶ月に一度呑みに行けばいいほうだった私が、この連日連夜の飲酒に耐えられるのだろうか、という心配である。

もちろん馬鹿呑みするつもりはないが、自分の配分や許容量などもよく分からなくなってしまっているので、意識的に食べるようにして、きちんと水を飲みながら、慎重にグラスに口をつけなくてはならないだろうな、なんて考えていたら、初めて酒を呑みに行った時のことを思い出してきた。

あれも桜のころだった。3年越しの初飲酒。
あくまでライク・ア・ヴァージンだが。

そう言えば「ヴ」が無くなるそうですね。